「なるほど!」と思える歴史上の出来事の因果関係を解説していきます。


■19世紀 ジャガイモ飢饉

1840年代当時イギリスに併合されていたアイルランドにおいて、歴史上最大の飢饉が起こりました。
ジャガイモ飢饉です。

主食であったパンの価格が高騰したため、アイルランドではジャガイモを主食としていましたが 、ジャガイモの伝染病が流行したことによって、極端な食糧不足が起こりました。
これによりアイルランド人のおよそ10%が餓死したそうです。


ではなぜ、このような飢饉に発展してしまったのかさっくり説明していきます。


■戦争から貿易摩擦へ

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19世紀前半ナポレオン戦争が勃発します。
ここでフランスは大陸封鎖令によって、自国だけでなくロシアやポルトガルなどの農業大国からイギリスへの貿易を制限します。


イギリスは当時産業革命や三角貿易によって発展していましたが、農産業には弱く各国から安くて上質な品を輸入していたんですね。


しかし貿易制限されていた国を見方に同盟を結び、ここでは貿易自由主義のイギリスが保護主義のフランスに勝利を収めます。(世界史的にはナショナリズムが盛り上がる契機になります)
これによってイギリスにフランス産の安価で上質な麦などの農産物が入ってくるようになったのですが、地主階級がそれに待ったをかけ、穀物法を制定してしまうんですね。


※農産物を弱点とするイギリスにおいて、他国から安価で上質な品が輸入されると国内産業が大きなダメージを受けます。
そのため国内穀物が一定の価格を下回った時点で輸入を制限するという穀物法を制定させたのです。



■パンからジャガイモへ


穀物法制定によって、イギリス国内の産業は潤い、独壇場となった結果穀物の価格が急騰します。
これによって最も打撃を受けたのは、当時イギリスに併合を受けていたアイルランドでした。

立場の弱いアイルランドは高級品のパンは変えなくなり、主食はパンからジャガイモへと移っていったのです。


■生命線の大打撃

アイルランド人の生命線となったジャガイモですが、ここにおいて伝染病が流行し多くのジャガイモが死滅しました。
そして食べ物を失ったアイルランド人は、1840年代人口の約10%が餓死するという前代未聞の大飢饉に襲われたのです。。。。



■まとめ

主食の枯渇というと、江戸の大飢饉が思い出されますが、今回の事例はそれとは異なる「国際情勢」が原因になったと言えます。
ナポレオン戦争が結果的にアイルランドの飢饉を引き起こしたと考えるとその因果関係をおさえることも私たちが肥やしにするべきだと思い知らされますね。


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